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オリジナルストーリー『"U"LYSSES』後編の作品紹介。
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英語表記 Kraka Thomas Thorson

 シオン・三輪・クリャーカドッティルの父。ハイバーンランド系トゥーレランド人。高名な遺伝子学者であると同時に詩人、作曲家でもある。シオンに音楽の才能があることを「生まれた時から知っていた」ため、幼い頃から音楽の英才教育を施し、プロデューサーとして自らが作曲した楽曲を提供もしている。

 英才教育を施す、と言っても、シオンの教育に彼が携わったのはほんの初期の一時期で、音大などから講師を雇う外注が今ではほとんどとなっており、親子が共に過ごす時間は皆無に等しくなっている。ただ、楽曲提供は多く、娘とのコラボでは大変高く評価されている。

 シオンを遠ざけ、冷たい態度で接しているが、一方で彼女の身を案じるあまり半狂乱になったり、狂おしい表情でシオンを凝視めたりするなど、愛情を示す仕草もあり、非常に複雑かつ曖昧な態度をとっている。

 イングラム・ラーズ・バーン=ブレイクの孫弟子(彼の指導教官がイングラムの直弟子であった)であると同時に、高梨レンの最後の直弟子でもある。
 妻は日本人である三輪ミヅキ(観月)。シオンを産んだあと、肥立ちが悪く急逝した。しかしその姿を見た者はおらず、残っている写真なども幼少の姿のものに限られ、その姿は娘のシオンに瓜二つである。

 「幼い頃に大病を患った後遺症が容姿に残ってしまっているため、大病以後の姿を他人に見られる事を厭い、外出も人目につかない庭先、写真の類を撮ることも許されていない」からとクリャーカは語っているが、現実は違った。

 三輪ミヅキなる人物は幼少の折に、その大病ゆえにすでに植物人間となっていた。だがそれを受け入れることが出来ない彼女の両親と、フィアンセだった彼自身は、アブラクサスに縋った。彼は彼女を今一度再生されるために遺伝子学者になり、冷凍保存されているミヅキの身体からiPS細胞を取り出し、これまで「生まれてきた時点で死んでいる」とされるほど欠陥の多いクローンではなく、身体の弱かったミヅキの「オリジナルの欠陥すら補完した新生した」クローンを生み出し、そのクローンを自分とミヅキの「娘」とした。こうして生まれたのが、シオンである。

 当初はシオンをミヅキの「器」としか見ておらず、モノ扱いしていた。次に彼女がミヅキとは異なる個性を帯びてくると、それを嫌悪した(実際は、娘として彼女を愛し始めた自分に対する嫌悪である)。しかし、最終的には本当の娘のように親のような愛情が芽生え、ミヅキへの愛情とシオンへの親としての愛情の間で苦悩していた。
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